HOME > 里やま日記 >[コラム]ふるさとに生きる。

29 「どんど焼き」

 新年を迎え、心新たに今年の平穏なくらしを神様に祈った方も多くいたことでしょう。その神様を迎える為に、年末には門松やしめ縄を飾って正月の設えを行っている。松の内が終わるとその飾り付けた物を処分しなければならない。その行事がどんど焼きである。歳神様をお迎えするための飾り付けなどを、神社の境内に長い竹や木、藁、茅、杉の葉などを掛け積み、火を燃やします。その時立ち上る煙に乗って歳神様は天に戻っていくとされているのです。

 その日にちは地域によっていろいろであるが、私の地区では七日に近い土曜日としている。当日は係の者が各家から藁を集めて神社の境内に運び、近くの山から木や竹を切り出し寄せ集めて大きなクリスマスツリーのように組掛けます。高さは七メートルくらいになり、それに稲藁の束を放り投げて木の枝に引っ掛けていきます。こうすると燃えやすくなるのです。午後四時に点火することになっており、その時間になると村の人たちが集まってきて、手にはしめ縄や鏡餅、子供達は書き初めを持って来ます。時間が来ると火がつけられ一気に燃え上がり、その燃え火で炙った餅を食べると一年間健康でいられるとされています。書き初めは長い竹の先につけて炎の上にかざすと、上昇気流に乗って天高く上っていき、高く上がるほど字が上達すると言われています。また、一年に頂いた祝儀の袋や不祝儀の包みなど、ゴミ箱には捨てられない物もこの火のなかで燃やすことも出来ます。現在ではほとんど見られなくなってしまったが、くどを使って調理をしている家庭では、残り火を持ち帰ってくどに入れると火事がおきないとのいわれもあります。どんど焼きの火にあたるとその一年間健康でいられるなどの言い伝えもあり、無病息災・五穀豊穣を祈る火祭りである。

 お宮さんの境内で行われる神事ではあるが、現代ではその宗教的意味合いは少なく地域の行事となっている。

 今日では野焼きをすると環境問題を唱える人がいたり、都会では地区の行事に参加する人もない状況であるが、田舎の神社の境内だからこそできることであり、一年の初めの行事に地域の人たちが顔を合わせ、連綿として受け継がれてきた伝統を次の世代に引き継いでいくことに村のくらしの大きな意味があると思う。


640x640目坂どんど

28 「災害と防災」

 今年も台風の季節がやってきた。毎年この時期になると天気予報のニュースを真剣に見るようになる。工務店を営んでいると台風接近はとても気掛かりである。特に足場を組んだ状態の現場があると、風が強い時には倒壊の恐れもあるのでその対策に追われることになる。

 今年の台風の特徴は雨が多いように感じる。数十年に一度というような表現の降雨とは一体どのような降り方なのだろう。そんなニュースの後には必ずと言って良いほど崖崩れの報がある。日本は世界でも類のない災害発生が多い国である。その理由は、日本の地形は高地が多い上に、河口までの距離が極端に短かく、川の流れが速いため、土や石をも流してしまうからだ。また、日本の年間降水量は世界平均の1.8倍であり、しかも梅雨と台風期に集中している。又、火山や断層が多く、その周辺の地質はもろく雨や地震によって崩れやすいのだ。

 この豊岡でも過去何度も大きな災害に見舞われた。この災害を出来るだけ未然に防ぐ為に、砂防という技術に生涯を捧げた偉人が豊岡におられる。砂防の父と称された赤木正雄博士である。

 赤木氏は、明治20年3月24日、豊岡市引野に生まれ、東京帝国大学農学部林学科で学んだ。明治43年9月、我が国が大水害をうけた時、学校長の新渡戸稲造が始業式で「治水事業は華々しい仕事ではないが、諸君の内一人でも治水に身を捧げる者はいないか」と話した。これを聞いた赤木氏は「よし、治水事業に自分の身を投げ出そう。そして、その上の砂防を研究しよう」と決心した。卒業後は内務省に入り全国の大きな河川の砂防工事を指導して実績を積み、日本に「赤木砂防」を普及させ、治水機構の根本的改正を実現。「SABO」は世界共通語となった。弊社は4年前に縁あって、赤木正雄展示館の創設に伴う建築工事を施工させていただいた。

 私の仕事である建築の法律の基本である建築基準法の第一条には、「国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする」と謳っている。土木と建築で専門分野は違えど、国民の生命と財産を守るという大儀をあらためて認識をした次第である。

27 「森林公園まつり」

sinrin
 私が住んでいる豊岡市目坂地区には、市から維持管理を委託されている森林公園がある。同公園は集落から約3㎞奥に入った山の中にある。ここが公園に整備されるまでは、田んぼと畑があったところで、村の農家が耕作をしていた。その頃は車が通れるような道路はなく、収穫した米や野菜は全て背負って家まで運んでいた。人がやっとすれ違えるほどの幅しかない急な坂道を、数10㎏の荷物を背負って歩くという過酷な暮らしを当たり前のようにしてきたのである。やがて後継者もいなくなり、耕作されなくなった。その後、豊岡市が森林公園として整備する事になり、現在のキャンプ場が出来上がった。

 公園の宣伝と地区の活性化を目的に、毎年5月の最終日曜日に森林公園まつりを行っている。当日は、餅つき、手打ちそば、農産物の販売、野草の天ぷらなど多彩で、毎年楽しみにして来られるお客様も沢山いらっしゃる。今年は約700名の来場者があり、公園内の空きスペースは全て車で埋まってしまった。

 このまつりの主催は目坂地区であり、段取りから片づけまで全て地区が主体的に取り組まなければならない。その目坂の戸数はたったの22戸しかない。当日は中学生から高齢者まで動ける住民は全てまつりに携わる。その準備は3月から始まっていて、担当者の配置表を作成し、責任者を決めていく。必要な資材の段取りや役割の確認、来賓への招待状の発送、市役所から借りるテントの運搬の段取りや車の手配、新聞折り込みチラシの作成と印刷などに加え、雨天であることを予測し、会場を屋内のふれあい館に移せるよう準備しておかなければならない。「段取り八分」という言葉があるが、まさに労力の80%は準備に費やされる感じがする。

 まつりを始めて21回を重ねるが、一度も事故なく盛大に行ってきている。
 たったこれだけの村でよくやれるものだと改めて感心した森林公園まつりであった。

26 「雛祭り」

 先日、あるOB様のところに伺うと、お雛様が飾ってあった。この時期、雛飾りが出ているお宅は決して珍しいことではない。女の子が生まれた家には大抵五段飾りや、七段飾りなどの豪華な雛段が座敷に飾ってある。そんな家には、何とも言えない柔らかさと華やかさが感じられる。

 今回伺ったOB様のお宅には三ヶ所に飾ってあった。ひとつは玄関の飾り棚に内裏雛、座敷には段飾り、そして店の間の隅に古風で小ぶりな雛飾りがさりげなく置いてあり目を引いた。その古風な雛は、奥様が生まれた実家で飾ってあったものらしい。この奥様の実家は弊社が昨年リノベーションをさせて頂いた。その際に家財の片づけをしていて偶然見つかり、ケースを開いてみると傷みがほとんどなかったので持ち帰って数十年振りに飾られたのだという。奥様がこれを飾られる時には、きっと生まれ育った実家での幼い時の楽しく遊んだ記憶が蘇り懐かしさがわいてきたことであろう。

 この雛祭りは、一年の五節句のうちの一つで「桃の節句」である。日本には平安時代を起源とする「五節句」という行事があり季節の節目に身の穢れを祓い、健康長寿や厄除けを願う風習があった。雛祭りは女の子のための行事であり女児の初節句には雛人形を用意し、健やかな成長と幸せを願いながらお祝いをする。「桃の節句」という別名は、桃の開花時期に重なるというだけでなく桃の木には邪気祓いの力があり、節句を祝うのにふさわしいと考えられたことから、このように呼ばれるようになったといわれている。

 この日を飾る行事食には、菱餅・ひなあられ・白酒・甘酒・はまぐりのお吸い物・ちらし寿司等、それぞれいわれがあるらしいが、女の子の行事らしい華やかな食事である。

 毎年この時期にお雛様を出す度に、わが子の幼い時の記憶が思い出され、その郷愁にふけること、まことに日本らしい文化であると感じる。

25 「薪ストーブ」

 雪の降る夜は楽しいペチカ ペチカ燃えろよお話ししましょ♪ 北原白秋 作詞、山田耕筰 作曲の童謡で、ペチカとは北欧生まれの暖炉の事である。寒く長い冬を過ごすために身近な燃料で家の中を暖かく過ごすための暖房器具であるが、日本の家には馴染みのない装置である。日本の伝統的な暖房器具は「囲炉裏」「コタツ」が一般的であろう。これらは局所暖房の器具であるため部屋全体を暖めることはできない。石油ストーブを使っているとその部屋は暖かいが一歩部屋を出るととても寒い。家の中でも極端に温度差があるのが日本の民家である。最近はバリアフリーと言われて段差のない家がつくられるようになったが、温度のバリアフリーはまだまだ現実化していない。世界的に見てもこのような暮らしをしている国は多くない。先進国で冬に家の中が寒いのは日本くらいである。

 ところが最近になって、薪ストーブを据えられる家庭が増えてきた。エコな暮らしを考えている人が増えてきたのかもしれないが、これがなかなか暖房設備としては優れものなのである。家の形にもよるが、薪ストーブを焚いていると室内の空気が乾燥して結露はなくなる。また、炎から遠赤外線が飛んで部屋全体がまんべんなく温もる。ストーブの上に鍋を置くことが出来るものもあり、鍋を置いておくと固い食材でもとても柔らかく煮ることが出来る。特に肉・ロールキャベツなどはとろけるくらいの食感になる。

 薪ストーブの醍醐味は何と言っても燃える炎を楽しむことであろう。オーロラのような炎を眺めていると何時までも飽きない。窓の外は雪、中は燃える火を見ながら冷えたビールを飲む。至福の時間である。

 但し、薪ストーブは手間がかかる。薪の準備に始まり、着火もタイマーセットのようにはいかない。何度も薪をくべないといけない。灰の始末・煙突掃除と全てがアナログの道具である。しかし、このひと手間掛ける暮らしが楽しいと思う家族にとっては冬の訪れが楽しいと思えることがあるのかもしれない。

640x640

24 「暖冬」

 雪が降らない。「足元に雪がなくて有難いですなー」この時期出会う人から定番のようにでる言葉である。確かに朝早くから除雪をしなくても良いし、車の上の雪もはねなくていいので日々の暮らしはとても楽である。しかし本当に喜んでばかりで良いのだろうか?

 私の地区には食料品の卸問屋に勤める若者がいる。彼はスキー場にも食品を納めていて、シーズン前には雪が降る時期を見越して山小屋へ食材を納品している。冷凍食品なので小屋の冷蔵庫に入れてシーズン到来の準備をしているのだ。先だってスキー場がオープンしてから彼のスキー場への食材納品の話を聞いていると、これが大変な苦労なのだそうだ。
 ゲレンデの麓にある小屋へは車が横付けになって問題はないのだが、なんと山頂にある小屋までへも配達するとのこと。当然、車がそこまで行くはずはない。人が乗るリフトを利用して荷揚げをするという。しかも直行リフトばかりではなく、乗継をしなければならないところもあるという。品物の積み下ろしから小屋までの運搬も大変な重労働らしい。もしオープン出来ても、売り上げが少ない場合は品物を引き取らなければならないという。苦労して運んだ荷物を下ろすとなるとどんなに気持ちが落ち込んでしまうだろう。

 雪が降らずに暖かい冬となると他にも困ることがある。家電品や衣料品、冬用食品などの季節商品が売れないのだ。そして雪不足になると山の保水量が減って、夏の水不足も心配される。また農家を悩ます猪の獣害も関係する。なぜなら雪が深いと猪は雪に足を取られて動きにくくなり、餌が獲れず餓死してしまうことがあるという。自然淘汰されて人間との共生のバランスがとれるのかもしれない。雪不足はそのバランスさえも壊してしまう。

 何れにしても冬は寒く、夏は暑く例年通り季節が巡ることが経済的にも日常の暮らしにおいてもバランスがとれる。
 ここにきてようやくいつもの冬がやってきた。この若者もほっとしているに違いない。

23 「そば会」

 年末には「三世代交流そば会」という行事が奈佐地区公民館主催で開催される。この日は奈佐小学校の体育館に全児童と親、おじいさんおばあさんが集い、地元特産のそばを打って、その味を楽しむ催しである。
(さらに…) 続きを読む →

22 「文化祭」

 体育館のステージにスポットライトがあたり、おひねりが飛ぶ。地域(豊岡市奈佐地区)の文化祭で盛り上がる。各地区から趣向を凝らした謡や踊り、劇や演奏などバラエティーに富んだ出し物が披露され、素晴らしい演奏に思わず引き込まれてしまうものもある。また、手の込んだ衣装をまとった花魁道中には感心させられた。普段の姿では見られない芸達者な一面を見て、隠れた才能に驚かされてしまう。今日の発表の日までには相当な稽古と準備に費やされたであろう事が理解できる。
 小学校の体育館を利用して行われることもあり、小学生の発表も盛り込まれている。
 この地区には「奈佐節」という伝統芸能があり、奈佐節クラブを結成し、子供たちを指導している。子供たちが太鼓、三味線を演奏し、菅笠をかぶり着物を着て踊る姿を見ていると感動してしまう。バレーボールや野球といったクラブ活動が忙しい中でも、伝統芸能に親しみを持ち、しっかりとした発表が出来る姿を見ると、指導者の方の熱い思いというものが感じられる。近年は市民芸能祭にも招かれ、多くの人たちの感動をよんでいる。
 公民館主催の文化祭であるので、公民館内には、ごてんまり・俳句・折り紙・書道・生け花等の展示があり、趣味の領域を超えた作品にも出会えたり、屋外の様々なバザーから漂う匂いに引付られたりもする。
 一年に一度のイベントであるが、地区にとってはなかなかの負担であり、芸能発表会はやめにしようという意見もある。しかし、一つの目標に向かって皆がまとまることに意義があるとして、なんとか毎年行われ、三十六回目を迎えることができた。
 今年の文化祭も最後は、景品付き餅まきを行い、大いに盛り上がって幕がおりた。

151101 DSC_0036
※奈佐節…鎌倉時代、大水害に遭った奈佐地区を慰問に訪れた法如上人(一向宗第十七代京都西本願寺住職)を歓迎するため、歌い踊ったのがはじまりといわれています。

21 「稲刈り」

「米のなる木で作りし草鞋 踏めば小判の跡がつく 俺が在所に来てみやしゃんせ 米のなる木がお辞儀する」
 山形県の民謡、花笠音頭の一節である。

 今年も、一面が黄金色に染まり豊かな実りの季節を迎えた。農耕民族である日本人の、一年で一番大きな行事が稲の刈り取りであるかもしれない。減少した農業従事者をカバーし、ここで威力を発揮する機械力がコンバインである。最近のコンバインは更に進化している。かつては、籾袋を軽トラックに積み込み、作業場に運び乾燥機に入れていたのだが、重くて大変な作業であった。しかし最近は、刈り取った籾はコンバインのタンクに入り、一杯になったら筒状のアームを伸ばして軽トラックの袋に自動で排出する装置が付いた機械が多くなってきた。農家は米になるまで稲に触ることなく収穫できるようになってきたのである。

 そんな強い味方であるコンバインにも弱点がある。通常、盆の頃までは米を太らせるように田んぼに水を入れ、その後水を止めて地を乾かすのだが、今年のように盆過ぎから雨が多く晴れ間が少ないと土が乾かずぬかるんでしまい、コンバインが入れないのだ。そんな状態なので今年はコンバインが走行できるだけでも幸いで、広い田んぼを全て手刈りをしなければならないところもあり、人海戦術を強いられ家族総出で刈り取りをする姿も見られた。
 農業は天候により作業の方法や収穫量が大きく左右され、毎年同じことをしていても同じようには採れない。ベテランの域に達していても難しく、田舎の暮らしは決してスローライフではない。しかし、収穫時期の「米のなる木がお辞儀する」姿は、農家にとって最高の賞賛なのだ。


151028 005

20 「電機柵」

  田んぼに面した道路を走っていると、その周りには必ずと言っていいほど規則正しくポールが立っており、そのポールには五段程度に細いケーブルが張り巡らしてある。獣が田んぼの中に入らないようにする為のもので、弱い電気を通した電機柵である。近年、シカやイノシシが増えてきて、民家の庭まで出没するようになってきた。

(さらに…) 続きを読む →

イベント情報
2017.04.30
とにかく庭が好き♡という方、 今年こそは庭をつくりたい!という方必見(* ̄0 ̄)/ ◇日 程/平成29年4月30日(日) ◇時 間/8:10集合(弊社駐車場)、8:30出発、15:45解散 ◇場 所/大屋~日高~豊岡~津居山 ●持ち物/長靴・軍手(山見学用) ●参加費《昼食付き》/大人(中学生以上)…1,000円、小学生…500...
2017.04.25
~このイベントは終了いたしました~ 日程/平成29年4月25日(火) 時間/11:30~17:00 場所/里やま工房モデルハウス 主催者/美女会 お問い合わせ/TMW Project 隠れ家サロンHoly 堀井(080-1471-4964) 子育てママがもっとキラキラ、そして癒しの空間を!!という事をテーマに活動中の美女会。 物販・リン...
2017.04.15
~このイベントは終了いたしました~ 日程/4月15日(土)・16日(日) 時間/午前10時~午後4時まで 場所/京都府京丹後市大宮町河辺地内(駐車場あり) ※詳しい場所及び地図は4/1(土)発行の新聞折り込み広告スパイスをご覧いただくか、弊社へお問い合せください。 ※予約不要 母屋に親世帯、離れに施主様世帯で暮ら...