《コラム》19 「ラジオ体操」

投稿日:2015.09.19

新しい朝が来た 希望の朝だ 喜びに胸を開け 大空あおげ

 物心ついた時から聞き慣れたこの曲が聞こえると、夏休みが始まったのだと気付かされる。
毎朝六時半になると、首からカードを下げた子供たちとお父さんお母さんが集まってラジオの放送に合わせてラジオ体操が始まる。我が家の隣が公民館なのでこの音で目が覚める。もちろん私も小学生から中学生までかかさず出席した。夏休み期間中には親戚の家に泊まりに行く事もあったが、その先でも必ず体操会をしていたのでそこに出席をしてカードにはんこを押してもらった記憶がある。夏休みが終わってカードを見直した時に、知らない名前のはんこが交じりつつも全部埋まっていたのを見てなんとなく誇らしく思えたものである。


 日本におけるラジオ体操の歴史は古く、最初の放送は昭和三年までさかのぼり八十年以上の歴史を持つのである。夏休みのラジオ体操会としては、その二年後の昭和五年に東京・神田で始まったと言われているが、実施の理由は「長期休暇中の子どもたちに規則正しい生活を身につけさせる」ためだったそうだ。しかし現在では、「ラジオの音がうるさい」という近隣の苦情などにより、実施期間が短縮され、実施する地域にも減少がみられるとのこと。そういえば、私の地区でも土日はラジオの音が聞こえない。それにしても「音がうるさい」という人がいるというのは驚きである。この音が騒音として聞こえるのだろうか。地域の子供たちが毎朝集合して体操をしている姿は、微笑ましい光景として感じるのだが…。

 私が以前勤務していたゼネコンの建築現場ではいつも「始業前のラジオ体操」を実施していた。こうした現場におけるラジオ体操には、リズミカルに体を動かしてほぐすことで、眠気を覚ましたり、就業中のケガや事故を防止したりする意味合いがある。「振る・伸ばす・跳ぶ」など、全身をまんべんなく使う運動が三分程度にコンパクトにまとめられたラジオ体操は、一歩間違えれば危険を伴う作業をする前に「体を起こす、目覚めさせる」ことに適しているのである。

 子供から大人まで規則正しい生活を送ることが、いつも基本であることはいうまでもないことである。

150825 rajio 

豊岡市目坂にて。ラジオ体操は朝の日課。
少人数でも輪になって大人も子供もしっかりと体を動かします。
 

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