傾いた納屋を、持ち上げて直しています|曳家(ひきや)の現場から
みなさまこんにちは☺
七十二候では「鴻雁来(こうがんきたる)」の頃。北の国から、雁(がん)が渡ってくる時季です。
山の木々も、少しずつ色づきはじめましたね^^
さて、今日は少しめずらしい工事のお話です。
いま里やま工房では、傾いてしまった納屋(農業倉庫)を、建物ごと持ち上げて直しています。

工事前の納屋
■ 石垣の上で、少しずつ傾いて
この納屋は、石垣の上に建っています。
地盤が沈下してきたことで、建物が道のほうへ引っ張られるようにして、少しずつ傾いてきていました。

石垣の上に建つ納屋
傾いた建物は、建て替えるしかない。そう思われる方も多いかもしれません。
けれど木造なら、問題なく直すことができます。しかも、新しく建て替えるより費用を抑えられます。
そこで今回は、建物をそのまま持ち上げ、下のコンクリートの基礎をやり直すことにしました。この工事には、「曳家(ひきや)」の技術を使います。
■ 建物を、まるごと宙に
まずは、持ち上げた建物を支えるための枕木を運び込みます。

納屋の中に積まれた枕木
建物の下に鋼材を通し、ジャッキで持ち上げます。持ち上げた建物は、井桁に組んだ枕木で支えます。


ジャッキで持ち上げます

井桁に組んだ枕木が、建物を支えます
そして、建物がまるごと宙に浮きました。

持ち上がった納屋
代表の池口にとっても、曳家工事は久しぶりの現場です。
■ 宙に浮かせたまま、新しい基礎へ
建物が持ち上がったら、いったん古い基礎を解体します。

古い基礎を解体していきます
そのあとは、建物を空中に上げたまま、新しい基礎をつくっていきます。10月上旬には、基礎の鉄筋が組み上がりました。

持ち上げた建物の下で、鉄筋を組みました
じつはこうした工事で毎回いちばん悩むのが、新しい基礎の位置を、建物のどの通りに合わせるかということです。
古い建物は、きれいな四角形ではなかったり、構造材の大きさがそれぞれ違ったり、まっすぐでなかったりします。そのため、墨出し(基礎の位置を決める印つけ)は、ほとんどの場合、勘が頼りです。
持ち上げた建物を、無事に新しい基礎へ載せられるように。建物と向き合いながら進めています。
10月7日の朝には、基礎の底の部分(ベース)にコンクリートが入っていました。


その日の夕方には、基礎の立ち上がり部分の型枠が組まれていました。

立ち上がり部分の型枠
そして10月9日の朝。立ち上がりの型枠にも、コンクリートが入っていました。

10月9日の朝の様子
■ これからの工程
新しい基礎ができたら、建物を下ろします。
そのあと、この機会に瓦も葺き替え、最後に出入り口のサッシを取り付けたら完成です。
「古い家は直せない」と言われても、建物を持ち上げてでも直す。里やま工房は、そうして古い建物と向き合ってきました。直った納屋の姿も、またこちらでご紹介しますね☺
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