STORY

Vol.04 凛としてのびやかに暮らす

【新築】新しい家で憧れの暮らしを実現されたご夫婦の物語

ご主人と奥様が、それぞれお仕事を退職され、今はお二人で悠々自適にのんびり、ゆったりと毎日の暮らしを楽しんでおられるM様宅にお話を伺いに行ってきました。

「和」と「モダン」が調和した個性的で、とても素敵なお住まいだったので、「素敵なお宅ですね。どんな風に、このお住まいをイメージされたのですか?」とお伺いするところから取材がスタートしました。

奥様の「憧れ」

「平屋で、ゆっくりとした暮らしをしたい」。
それが奥様の「憧れ」だったそうです。使いやすいキッチンがあって、床は畳みにして落ち着ける空間にする。そして、家の中はなるべくモノを置かず、スッキリとさせる。そんな平屋での暮らしに憧れておられました。

ご主人の「想い」

「本物の木を使った家がいい」。
これは、ご主人の「想い」でした。やっぱり、木の家が良かった。合板を使った家をいくつも見た。見た目は綺麗だけど、自分が住むには(化学品ではなく)やっぱり「本物の木」が良かった。
そして、“四阿(あずまや)”のようなイメージの家にしてほしかった。庭園なんかにある「四阿」。茅葺(かやぶき)の屋根で、趣のある佇まい。そんな「和」の雰囲気が好きだった。「そんな家がいいなぁ~」と思っていたと。

お二人で信楽まで
「露天風呂の雰囲気が好きだった」。
これは、ご主人のこだわりでした。そして、「陶器のお風呂にしたい」と。ご夫婦で信楽までお出かけになり、湯船を特注されました(ちなみに、洗面室とトイレの手洗い鉢も信楽で特注されたものです)。その湯船に似合うお風呂になるように、知恵を絞りました。壁と天井を杉板にして、大きな窓からは庭が広がる開放感のあるお風呂です。もちろん、プライバシーは100%確保しています。

屋根は方形屋根(ほうぎょうやね)にして、LDKの天井は南瓜束(かぼちゃづか)。
ご主人の「四阿のようなイメージがいい」というご希望に沿って、屋根は趣のある方形屋根にしました。屋根の4面が中心の一点に集まる形状なので、こう呼ばれます。四阿によく利用される屋根のカタチです。屋根を少し工夫することで、外観がとても落ち着いた佇まいに変わります。

LDKの天井は木組みをそのまま見せた造りになっています。方形屋根の“4面が中心の一点に集まる”木組みは、インテリアとしても趣がある上に、木がたくさん見えるのでLDKをとても落ち着く空間にしてくれます。また、四方の垂木を中心の一点に集め、そこを南瓜束と呼ばれる長方形の部材で固定することで強度を高め、柱のない空間を実現しています。

使いやすいキッチンがいい

これは奥様のこだわり。奥様のご要望に従って製作した里やま工房オリジナルのキッチンです。「濃いワインカラー」も奥様のご指定。木組みの見える高い天井の下で、濃いワインカラーが映えています。とても、存在感のあるキッチンです。

キッチンにも、奥様のご要望がたくさん盛り込まれました。例えば、奥行き。普通のキッチンよりも奥行きが深くなっています。これは、「アイランド・キッチンはダイニングの一部になるので、配膳や片づけの時に食器を置いたりする。だから、ちょっと広めの方が使いやすい」と奥様から。また、「コンロの奥にはお鍋を置くことも多い。だから、ちょっと奥行きが深い方が便利だ」とも。

また、キッチン収納の多くには扉を付けていません。なので、仕舞ってある調理器具やお鍋がそのまま見えるようになっています。これは、「見えた方が、ちゃんと片づけるから」との奥様流の片づけのコツです。取材にお伺いした時も、綺麗に片付いていました。

コンロは、IHとコイルをひとつずつ付けています。「それまで使っていたお鍋など、なるべくそのまま使いたかった」と。だから、コンロをIHとコイルの2通りにしたそうです。なので、「土鍋も、ちゃんと使えますよ」と。

小さな箇所ですが、奥様お気に入りの工夫がキッチンの右端に設けた“お盆収納スペース”。「お盆を縦に仕舞いたかった」と奥様。キッチンの一番右側に、幅5cm、高さ50cmくらいの収納スペースを設けています。奥に向かって少しだけ傾斜を付けているので、お盆を入れると自然に奥に向かって転がってくれます。

琉球畳み

これも、奥様のこだわり。「私はフローリングよりも、畳が好きなの」という奥様のご希望で、家の中は(一部を除いて)琉球畳みを敷いています。畳みの縫い目が交互になるように配置することで、(光の反射によって)チェッカー模様に見えます。家の雰囲気とマッチして、とても落ち着く空間になっています。

軒(のき)の長い家

これもご主人のこだわり。軒が長いと、太陽の高い夏は陽ざしを遮ってくれます。太陽が低くなる冬には、陽ざしが部屋の中まで入ってきてくれる。四季のある日本の知恵です。

そして、お二人が気を配られたのがバリアフリー。「歳を重ねていくので、やっぱり健康はとても気になる」と。段差をなくし、車椅子でも通れる広いスペースを確保しています。

ゆっくりと豊かな時間が流れるM様宅。そして、仲良しのご主人と奥様。そこで、「毎日、どんな風に暮らしておられるのですか?」と伺ってみました。

朝、起きると、ご主人が豆を挽いて、コーヒーを煎れるのが日課だそうです。そして、お二人でコーヒーを飲みながらまったりと。「今日は、何をしようか?」と考えるのも、楽しいひと時だそうです。

取材におじゃました時も、ご主人がコーヒーを煎れて下さいました。とっても美味しいコーヒーでした。コーヒーと一緒に、奥様がお饅頭を出して下さいました。オシャレな器に、美味しいお饅頭。多分、こんな感じで毎朝のひと時を楽しんでおられるのだろうな、と想像していました。とっても豊かなひと時です。

家にいる時、奥様が大好きな場所が「書斎」だそうです。もともとは、ご主人用に設けた書斎ですが、今では奥様のお気に入りのスペースになっています。ちょっとだけ隠れ家のような趣のある小さなスペース。庭に向かって座る造り。畳みに腰を下ろし、足は掘りごたつになっています。目線が低くなるので、目の前の庭が近く見えます。庭の木や落ち葉が、四季の移り変わりを教えてくれるそうです。ここで本を読んだり、ちょっとした仕事をするのに使っているとのこと。とっても落ち着く場所だそうです。

M様宅には、よくお友達が遊びに来られるそうです。また、月に1度くらいのペースで、ちょっとしたホームパーティーのような集まりも開かれるそうです。お料理を持ち寄ったり、みんなでお料理をしたりと。そんな時は、存在感のあるアイランド・キッチンが大活躍をするそうです。

“友達”は、人生を豊かにしてくれますよね。気のおけない友達がいて、わが家でわいわいがやがや楽しむ。美味しいものを食べたり、趣味の話をしたりと。いいですよねぇ~。

たくさんお話を伺って、強く感じたのは「仲良しで、とっても素敵なお二人だなぁ~」という点。「こんな家に住みたい」というアイデアをたくさん蓄積して、それを実現されました。たくさん研究して実現した「わが家」なので、「(この家が)大好きだ」とおっしゃっていたのが印象的でした。

M様、たくさんのお話、ありがとうございました。
そして、美味しいコーヒーとお饅頭、ご馳走様でした。

インタビューを終えて

「とても豊かで、上質な時間を過ごしておられるなぁ~」と、お二人の暮らしがとても羨ましく感じるインタビューでした。デザインや世界観、品質や機能性にこだわって建てられたお住まい。お二人の個性が反映されているようで、訪れた私が「憧れる家」でした。

そんなお住まいには、豊かな時間が流れていて、とても上質な毎日を楽しんでおられるように見えました。何よりも、お二人が楽しそうなのがとても印象的な取材でした。

ご夫婦が健康で、仲がいいって、本当にいいですね。